桁試験   ←設計主任topへ
2004年度用に製作した主翼桁を、全て接合して、飛行時を想定した荷重をかけ、強度や剛性を見る試験です。
ここで折れたら、飛ばしても折れるということ。設計した桁がもってくれるか、設計主任の正念場です。
(文責 仲・吉村、写真挿入&コメント・管理人)


FRP主任レポート
Meisterでは主翼桁が完成すると「桁試験」を行います。
全ての主翼桁を接合しておもりを吊るすことで、定常飛行時にかかる負荷をシミュレートします。
このときに折れずに、設計どおりにたわむか確認します。
この桁試験は、一昨年・昨年と二年連続で再履修しています。
桁が迎角方向に回転してしまったり、風が強すぎたりといったトラブルがあったためです。
今年こそ一発で終わらせたいと思っていました。
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(ミーティングにて。おもりをつるす人の配置を決定します。
おもり係片翼約10人をはじめ、総勢で30人くらい必要とするので、人力飛行機部門総出で行います。)

前日(3/18)の雨とは打って変って、3月19日はきれいに晴れた。
講義室でミーティングをしてから、例年通りの場所「原子力実験棟脇」まで桁と道具を運ぶ。
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(道具と桁を運搬中。トラックを運転しているのは僕(管理人)です。
こいつのクレーンを使って、桁をつるします。)

そして、初めて全ての主翼桁を接合する。スパン31.0mはやっぱり長い!!
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(真ん中でバランスを取る人「神」はもちろん私(管理人)。高いです。怖いです。
桁をつるして、準備完了!!)

去年より成長した桜の木の枝がかなり邪魔だった。
おもりを吊るし始めるまでは強めの風が吹いていて、続けられるか心配だった。
風が強すぎると桁が押されて建物やクレーンに当たってしまう可能性がある。
しかし、実際におもりを吊るし始めると、いくぶん風が収まってきた。
おもりの数を徐々に増やしていくとそれにつれてたわみ、見慣れた人力飛行機の主翼のしなりを思わせる形となってくる。
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(おもりは2lペットボトルに水を入れたもの。端までつるすとこんなカンジにたわんでしまいます。
鳥コンで見たのと同じですね。)

それと同時に緊張感が高まる。定常荷重に達してもまだ安心できない。
更におもりを追加して定常飛行時の1.2倍に耐えさせなければならない。
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(安全のため、同じ手順でおもりをつるし、1.2倍荷重をかける(小さいペットボトル)。
それぞれ端までつるしたら、たわみ量を計測。)

たわみがつくとおもりが地面についてしまうことがある。慎重に風の様子を見つつ、たわみ量を測って終了!!
しかし、おもりを外していくと、何回か「カコン」と音がした。
これは問題無いという判断で続行。

吊るし始めてから約1時間、全部のおもりを外し終わった。
この時間はすごく長く感じられた。
今年は、設計上でも製作上でもトラブル・ミスを連発してして、桁試験をここまで遅らせてしまった。
それを全て乗り越え、やっとここまで到達!!

P.S.倉庫に帰ったら、工事の振動のせいで高さ4mのところにある古い時計が外れかかってた…
時間帯が悪かったら桁の上に時計が落ちてたかも(汗
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設計主任レポート

試験の様子
1.2倍荷重をB桁につるし終わったとき、一斗缶をへこませた時のような「ベコン」という音がし、
その後1.2倍荷重をすべてかけ終えてはずしていく際、おもりを一つずつはずす度に同様の音が確認された。
残りのおもりが6〜7つになったあたりで音がしなくなった。

そのほかに1.2倍荷重をかけている際、二・三度、軽くはじけるような音が確認された。

考察
音がするタイミングや、桁の全体から音がしていたことから、一つ目の音はずれてしまった接合部が元に戻る際の音が桁内部で反響したものであると考えた。
また、桁試験を終えた後確認したところ、桁の接合部付近の内側に補強の為に入れているリブが二箇所外れているのが見つかった。
このため1.2倍荷重をかけている際、接着の甘かった桁リブが取れてしまい、そのために荷重をかけおろしする際に桁が接合部でわずかに変形したことが音の原因であると考え、 対策として、接着を一度すべてやすり落とし、再びしっかり接着することにした。

二つ目の音は、桁内部に、桁焼きの際にできたエポキシ樹脂がたまった「エポだまり」の部分があり、それがはじける際の音と考え、桁の強度的には問題ないと考えた。

また、桁のたわみを実際に計ったところ、

計算値(mm)

実測値(mm)

定常荷重

1970.2

1988.4

1.2倍荷重

2489

2510

となり、計測の誤差を考えても計算値が妥当な値であることが分かった。

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